<5・相談しましょ、そうしましょ。>

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「それに、もしそのルートを辿ると……」  ちらり、と疾風の顔を見上げる。 「そ、その。女同士でありながら、私と……神楽さんで恋人同士、をやらないといけなくなるんです、が。それでいいんです?」  肉体的には百合とはいえ、正直自分としては非常に役得ではあるのだが、疾風の方はそれでいいのか。  女性になったからといって、疾風の姿に違和感や嫌悪感はない。それどころか綺麗すぎて、さっきからドキドキしっぱなしであるほどである。が、疾風の方もそんな単純に考えてくれているとは限らないわけで。なんせ向こうにとっては自分など、仕事を教えたモブ社員の一人でしかないだろうというのは容易く想像がつくわけで――。 「それは全然いいけど?」  が。そんなつみきの疑問をよそに、彼はあっさりと“OK”を返してきた。 「だって、俺達二人が生き残る確率も高そうじゃないか。何より、二人でこうして頻繁に会って相談したいって思うなら、俺達二人で仲良しってことになってた方が絶対やりやすいと思うぞ?」 「え、ええええ!?いいんですか、私ですよ?そりゃ悪役令嬢のディアナは結構美人だけど、元は西岡つみきですよ?あの、西岡つみきなんですよ!?」 「何でそんな自分を卑下するのかさっぱりわからないぞ」  ぷくう、と。まるで子供みたいに、疾風は頬を膨らませた。 「男として言わせてもらうけど、元の君だって充分可愛いよ。もっと自信持っていいと思うんだけどなあ」 「!?」  完全に固まった。思わず、口を金魚のようにぱくぱくさせてしまう。一体、彼は何を言ってるんだろう。自分は何を言われてるんだろう。 ――か、か、か、かわいい?わ、私が?元の私が!?  それはどういう意味なんですか、の一言が固まったように喉から出てこない。つみきが真っ赤になって動けなくなった、まさにその時だった。 「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」  凄まじい悲鳴が、すぐ近くから木霊したのは。
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