<7・ヤンデレ怖い、超怖い。>

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<7・ヤンデレ怖い、超怖い。>

 階級制度があり、西洋風の異世界であると一言で言っても。そして主人公やらライバルがどこぞのご令嬢であると言っても。実際に世界観は、物語によってまったく異なる様相を見せることになる。  文字通り破滅フラグも恋愛フラグも恐ろしい勢いで立つ破滅のセシリアだが、その理由の一つが“貴族社会でありながらも、どこか現代的な思想が色濃く出た世界観”であるからというのが大きいだろう。  例えば、女性の権利などが挙げられる。セシリアもディアナもどちらも伯爵令嬢であり、セシリアに至っては元下層階級から引き取られた養子であるという設定だが。どちらも等しく、伯爵家の跡継ぎになることが認められている。かつてのイギリスなどの貴族社会では、養子であるというだけで跡継ぎになれないという縛りがあったようだがこの世界ではそれも関係ない。同時に、長男が必ずしも家を引き継がなければいけないなんてルールもない。  次男以下であっても優秀ならば伯爵の称号を引き継ぐことができるし、それは女性であっても同じなのだ。そして、家族の誰が家を引き継いだとしても、他の兄弟姉妹はその家族を全力で支えて家を守るのが“貴族の誇り”であり“麗しい家族愛”とされる風潮が強い。極端に兄弟仲、姉妹仲が悪ければその限りではないのだろうが、それゆえに跡継ぎを巡って切磋琢磨することこそあれ、兄弟姉妹が跡継ぎ候補を殺して自分がその地位に座る!なんて血みどろのことは比較的起きづらいとされていた。  だからこそ。キャラクターが殺されるのだとしたら、そういった跡目争いとは別の理由、あるいは逆の理由であることが多いのだが。 「ディアナ姉様!」 「あ」  学校に向かう支度をして部屋を出たところで、ディアナ、になっているつみきは声をかけられた。見れば、初等部の男子学生であるアシュトンが、てってってーと可愛らしい足音を立ててこちらに駆け寄ってくるではないか。  はっきり言おう。可愛い。めっちゃ可愛い。赤毛に緑目はディアナとお揃いだが、この子の方がある意味女の子っぽい可愛い顔立ちであると思う。瞳も大きく、ほっぺは真っ白でふくふくとしている。ゲームの中における、つみきの推しキャラの一人だ。ショタ最高!ショタは至高!と画面にかじりついていたのは記憶に新しい。 ――うおおおおおおおおおおおおリアルアシュトンが目の前におる!眼福!眼福であるぞおおおおおおおおおおおお!
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