<7・ヤンデレ怖い、超怖い。>

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 ***  貴族の子息ならば、小学生相当の頃は家で家庭教師をつけ、学校には行かせないことも珍しくないという。  しかし、自分達は王都に住んでいる伯爵家の身分であり、かつ貴族の子息を育てることに重きを置いたおぼっちゃん&お嬢様の専用学校も存在する。初等部に入学する折、きちんと試験に合格した上で高額な入学金を払えば、あとは一定の成績を保つだけで高等部までは行ける仕組みだ。さすがに大学となると、難関の試験を突破しなければ次の学校に行くことは叶わないのだが。  というわけで、アシュトンはその学校の初等部へ、つみき=ディアナと疾風=セシリアもその高等部に通っている身分というわけである。  まだ受験には程遠い時期。お互い学校での生活はのんびりしたものだった。まあ、そんなのんびりしているようにも見える学園生活の中にも、大量に恐ろしいフラグが埋まっているわけだが。 ――恋愛フラグはともかく、死亡フラグが露骨に立つ選択肢はざっと見たから大体覚えてる、はず。……あああああああああああああああああの攻略サイトに、このゲームの中から繋ぐことができたら全部確認しながら進めるのにちっくしょう!  郵便局に寄って手紙を出した後も、馬車の中でぶつぶつと考え続けるつみきである。とりあえず手紙はクリアしたから、今日は授業が始まるまではそんなに恐ろしい選択肢は出現しない、はずである。  どちらかというと問題は疾風の方だ。一応彼には“こんな質問をしてくる人や、こんな誘い文句を言ってくる人には気を付けて”みたいなことはひとしきり話してあるが。つみきの記憶もだいぶ怪しいし、そもそも疾風がどこまで覚えていられるか疑問である。なんせこの間も、後先考えずにメイドの少女達を助けに行ってしまったような人だ。まあ、その結果ディアナどころかその召使達、家族達にも“セシリア”の好感度が爆上がりすることになったわけだが(靴を脱ぎ捨てたのをはしたないと本人の両親に叱られたようだが、むしろそこまでして助けようとした気概をディアナの方の両親は買ってくれたらしい)。  自分の方が主人公だったらもう少しフラグ管理がしやすかったのに、なんて思ってはいけない。というか、思ったところでどうしようもないことである。
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