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沙也加とのことはともかく、大会で一定の成果を上げたことで、真紀は柔和な表情をしていた。
「刀、見つからなかったね」窓の景色を眺めながら真紀が言った。窓の外には雲海が広がっている。
「脇差は、沙也加の家にあるらしい。赤い鞘の小さい日本刀がある言うてた」
「そうだったんだ」
「付き合うようになって、家に行けるまでの仲になったら探すこともできたんやが」
「振られたもんね」
「違う、見切ったんや。まどろっこしいことは性に合わんのや」
「目的があるんだから、なりふり構っていられないはずなんだけどね、甘いね」
「まだチャンスはある。居場所はわかってるんじゃ、どうにでもなるさ。いざとなれば、こっちから直に押しかける手もある」
「ふうん、まんざらじゃあないってことだね」
「なにが」
「まだ沙也加に未練があるってことじゃない」
「違うて」
「違わない」
「違うて」
「無理しちゃって」
「問題は刀じゃ」
「家伝の刀っていうやつ?」
「そや、それが一番の問題なんや。それを取り戻さんと、わいは認めてもらえんのや」
「わたしとのことも?」
「そうじゃ」大陸は目を伏せ、呟くように言った。
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