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「金があれば、精神的に余裕がある。俺たちみたいにぎすぎすした性格になることもないってことか」
「真紀は玉の輿だったってことか」
「かもね」
「かもねじゃなくて、そうだろ、もはやあの男と夫婦みたいに一緒に行動してるんだからよ」
「そうだな」
旬は松川の話を聞き及び、所詮自分とは関係のない世界のことだと聞き流した。
「真紀にはあの島津ってやつがいたから、俺たちのことを見下してたんだろう」
奈良岡が言った。
「見下すって、どういうことだよ」と園田。
「人とは思っていないって言ってただろ」
「やりすぎたか」と松川は旬に視線を送った。
「仲良くしてたら、おこぼれが回って来たかもな」
「何の」
「真紀からさ、防具一式新しくしなよ、とか」
「おまえ、防具、欲しいのかよ」
「いやべつに」
「なら言うな、馬鹿」
「でも俺、上下白にして試合に出てえな」白の道着に白の袴でということらしい。
「似合わねえよ」
「なんで」
「ガラじゃない」
「そう、俺たちは藍染めの道着でたくさんだ」
旬は、知らんぷりを決め込んでいる。
「あいつ、俺たちのことを最低だって、人間じゃないって言ってただろ」
「そうだな」
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