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「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴっぴぴぴぴぴぴーぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。ぴぴぴ、ぴぴぴぴっぴぴぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴっぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ、ぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ。ぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴっぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴっぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ? ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ?」
ここに来てメチャメチャ長文を語られた。
メチャメチャ親の愛とかを語っていそうな語り口、いや語り笛だった。でも俺はまったくなにを言っているのか理解することができなかった。
俺は考えた。適当に返事して誤魔化すか。しかし。俺はすぐ考え直した。お父さんは嘘や誤魔化しは嫌いなはず、ここは思い切って正直に言おう、と。
「お父さん!」
「ぴ?」
俺の大声にお父さんはビックリしたようだ。驚きすぎて『ひょっとこ』みたいな顔をしていた。あ、これは笛をくわえているからか。
ともかく、俺は深々と頭を下げた。
「すいません! お父さん! 俺、笛をくわえたお父さんの言ってること、まったくわかりません!」
「ぴぃぴぃぃぃぃー!」
お父さんが笛を大きく吹きすぎて、笛の音がヒビ割れた。頭を下げていたため見えなかったが、お父さんが勢いよく立ち上がったのがわかった。
ご立腹だ。お父さんの機嫌を損ねてしまった。もう取返しがつかないかもしれない。でも、ちゃんと言わないと。男として、人として、キチンとしないと。康子のお父さんは俺のお父さんだ。
俺は覚悟を決めた。
「でも、でも絶対、お父さんの笛言葉わかるようになりますので、だから、だから……、娘さん、いや、康子さんとの結婚を認めてください!」
「ぴぴぴぴぴ……」
お父さんの笛言葉が小さくなにかを呟いた。開いたふすまの向こう、いつの間にか康子とお母さんがそこに立っていた。
「真一さん……」
康子は呟くと素早く俺の隣に座り、同じように頭を下げた。
お母さんの鼻をすする音が聞こえた。
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