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「あ、ありがとうございます!」
俺と康子は再び頭を下げた。
さあさあ、とお母さんがパンパンと手を叩いた。
「新しい家族ができたということで早速ごはんにしましょう。康子手伝って」
「はーい」
頬の涙を拭って、康子が立ち上がった。
「あ、俺も手伝うよ」
俺も立ち上がろうとしたが、
「あー、いいのいいの。真一さんはデーンと構えて待ってて。なんて言ったって、私の旦那さまなんだから」
と言いながら、康子が上から肩を押さえて俺を無理やり座らせた。
「ぴぴぴぴぴぴ!」
お父さんが怒ったように頬っぺたを膨らませながら笛を吹いた。
「『まだ早いぞ!』だって。うふふ」
康子がいたずらっ子っぽく笑った。
「あ、そうだ、真一さん」
台所に行く前に康子が振り返った。
「なに?」
「待ってる間、お父さんと会話する練習したら?」
「え、マジ?」
一難去ってまた一難。
「笛言葉、勉強するんでしょう? じゃあ、早く始めたほうがいいよ」
「ぴーぴぴー」
「ほら、お父さんも『そうしよう』って言ってるし」
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