第一章:みのり

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私は今日で、十七歳になった。 暑い暑い夏休みシーズンだ。 学校が無いのはいいが、夏休みだと誕生日はあまり友達に祝ってもらえない。 小学生ぐらいの時は、それが少し寂しかった。 「誕生日おめでとう、みのり。」 彼は数ヶ月前に付き合う事になった同学年の子だ。 恋人ができるのは初めての事だったので、少し躊躇したが押しに負けて付き合いを始めた。 高校に入ってすぐぐらいから、彼は私のことが好きだったらしい。 私は告白されるまで、正直大した印象を持っていなかった。 恋愛自体にも、あまり興味はなかった。 「ありがとう。」 彼にもらった花束に目を落とす。ーーー綺麗だ、とても。 彼に誘われて、二人で海に向かった。 免許を取って間もなくとも、彼のバイクの運転は安定していた。 後ろに股がって、彼の背に身体を預ける。 吹き抜ける風が心地好い。 堤防の傍に駐車して、二人で並んで座る。 ここから一望する海は、格別に美しい。 しばらくその美しさに浸っていると、不意に彼が口を開いた。 「僕は、君と出逢えてこうして一緒にいられて、すごく幸せだよ。いつも、一緒にいてくれてありがとう。…みのり、大好きだよ。愛してる。」 私は彼に微笑み返して、 「ありがとう。あなたの気持ちはすごく嬉しいよ。私も、大好きだよ。」 と言った。
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