第三章:処刑の少女

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第三章:処刑の少女

寂れた街の、道の真ん中に立っている。 物乞いしたり、暴力を振るったり、人の物を盗んだり。 ここでの日常風景が広がっている。 私はぼんやりと辺りを見渡す。 誰かが声を掛けてきたけれど、気付かないふりをした。 これもいつものことだから。 「チッ……可愛げがねぇな。」 私は黙々とその道を歩く。 そのうち、賑やかな街に出た。 行き交う人が皆お洒落で高そうな衣装に身を包んでいる。 お店も豪華だ。 音楽があちこちで鳴り、人々は楽しそうに私の前を通り過ぎていく。 私の方を見て、訝しげな顔をする人もいる。 場違いなのだろう。そんなことはよくわかっている。 今更何も感じない。 私は盗みを働く店を決めた。 美味しそうなお菓子が並んだパン屋さんのようなお店だ。 『お菓子とパンが一緒に買えるのか、不思議なお店だ。』と思った。 そのお店に向かって足早に歩いていると、店から出てきた少年とぶつかった。 思い切りぶつかったせいで、少年は道に買い物袋を落として中身を散乱させた。 その上、勢いよく転んだ。 私は何ともないのに、大袈裟だ。 「いっててぇ……」 私がじっと見ていると、少年は慌てて買ったものを拾い集め、声を掛けてきた。 「ごめんなさい。急いでてぶつかっちゃって……あの、あなたは大丈夫ですか?どこか怪我とか……」 私は少年の言葉を無視して、帰路に着いた。 「あっ……ちょっと……あのっ……!」 少年が何か叫んでいたが、どうでもよかった。 周りに人の視線が集まってきたため、都合が悪くなり私はその場から逃げた。 お陰で今日も何も収穫は無しだ。 お腹が空いていることさえ忘れるぐらい、しばらく何も食べていない。 いや、何も無いわけではないな。私はポケットの中のものを掴む。 ただ一つだけ、小さな果物のようなものを手に入れた。 先程ぶつかった際に少年が落としたものだ。 美味しいかはわからない。 でも、何も食べないよりはマシだ。 私は歩きながら、果物を齧った。 甘酸っぱくて、美味しかった。 今まで食べたものの中で、一番美味しいと感じた。 ほんの少しだけ、少年に悪いことをしてしまったような気がして、直ぐにその思想から意識を逸らした。
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