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「そういえば、ねずみくん」
皆が放り散らかした座布団を片付けながら、猫が聞く。
「今日の会合場所は、いつ変わったのかニャ?ねずみくんが昨日教えてくれた神社は五キロも離れた場所だったし、誰も居なくて焦ったニャ」
ニャハハ、と笑いながら頭を描く猫。ねずみも同じ笑顔を向けてこう言った。
「猫のお前に本当のことなんか言うわけねえだろバーカッ。お前もやっぱり、あのバカ先祖と一緒っチュね。いい加減学べっチュ」
「……ニャ!」
猫は暫し固まった。
徐々に膨らむ尻尾、開く瞳孔。図らずとも、喉からシャーッと漏れる声。
ねずみは尻をぺんぺこ叩いて走り出す。
「こんのくそねずみがぁああああぁ!待てシャー!!!」
「チュチュチュー♪」
「噛み砕いてやるからニャぁぁあああ!!」
逃げるねずみに追いかける猫。みるみる遠のく二匹の姿。
神社に一匹取り残された龍は、今日の会合を振り返る。どうして皆がこんなにも真剣になるのか疑問に思えば、口からこぼれたこんな呟き。
「ドラゴンの俺が十二支にいる時点で、十二支にまつわる昔話も架空に決まってるじゃねえグァッ」
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