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なんで猫がきたの。これ、十二支会合なんだけど。
全員の目がそう言ったところで、ねずみが胸の前の空気を二度押した。
「まあまあ、そんな白けた目なんかしないで。ねこくんはぼくが呼んだんチュ。ねこくんにも、話しておかなければならないことがあるっチュからね」
入ってよ、とねずみに促されて、猫はしずしず入室する。
「すまニャイすまニャイ。他の神社に行っちゃって、遅れちゃったニャン」
「気にしてないっチュ。ところでねこくんの肩に乗っている、かえるくんも同席するっチュか?」
その言葉で、再び全員の目が白け出す。
空気を読んだカエルは、「もうカエルケロ」と言って、ピョンとその場を後にした。
「チュウことで、ねこくんの席は……」
前足で、輪の余白を探すはねずみ。
「いのししくんの隣にでも座ってくれっチュ。いのししくん、悪いがほんの少し、ずれてもらってもいいっチュか?」
「もちろんプギッ」
そう言って、腰を快く上げた猪。だが彼は、たったの半歩横に身を置くだけで良かったのにも関わらず、八畳跨ぎ越した屏風へ豪快にぶつかった。
バタンと猪が倒れると、屏風もバサンとその上へ覆い被さる。
「だ、大丈夫っチュか!?」
「プ、プギギギギ……」
「猪突猛進しすぎだチュウ。君のご先祖様が最下位の十二番目でゴールしたのも、この神社を勢いよく通り過ぎてしまって引き返したのが原因だそうじゃないっチュか」
「そうなんだプギ……なおそうと思っているんだけど、なかなか……」
「血は争えないっチュね」
とても重そうなその屏風は、龍が咥えて元に戻した。
皆が座ったところで、ねずみが言う。
「ねこくん。ぼくのご先祖様が君に嘘の日にちを教えたのには、訳があったんだっチュ」
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