初めての十二支会合。 -あの日、実はこうだった-

6/9
前へ
/9ページ
次へ
 十三匹中、十一匹がぽかんとした。おそらくこの話を知っているのは、当事者の先祖を持つ、ねずみと猫だけらしい。 「レースの日付けをねこくんのご先祖様に聞かれた時、ぼくのご先祖様は体調が悪かったんだっチュ。少し頭もボーッとしていたらしくて、だから誤った日付けを教えてしまったんだっチュ。決して、ライバルを減らそうと企んでいたわけではないんだチュ」  皆の視線が、ねずみから猫へと移された。 「そんニャの信じられニャイよ。ねずみくんのご先祖様のせいで、ぼくたちねこはこの先もずうっと、干支の仲間に入れニャイんだ。こんニャ酷いことってニャいよ」 「でも、君のご先祖様にも非はあるっチュよ。自ら神様へ確認すればよかったのに、その辺にいたねずみに聞いたんだっチュから」 「ニャッ、でもっ」 「だから、もうそろそろこの恨みは忘れてほしいっチュ。いい加減、ぼくたちねずみを追いかけ回すのをやめてくれと、野良ねこくんたちに言っといてチュ」  でもニャア、と前足を舐めながら悩み出した猫には、仲裁上手な鶏が片羽を上げた。 「ねずみくんの言う通りよ。いつまでもそんな昔のことを根に持っていても仕方ないわ。これを機に、仲良くなりましょうよ」  皆がうんうんと頷いたのを見てしまえば、不服ながらも同調せざるを得ない。 「わ、わかったニャ。今晩集会があるから、そこで仲間に伝えるニャ」  その言葉ににっこり笑ったねずみは、「ありがチュウ」と言った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加