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十三匹中、十一匹がぽかんとした。おそらくこの話を知っているのは、当事者の先祖を持つ、ねずみと猫だけらしい。
「レースの日付けをねこくんのご先祖様に聞かれた時、ぼくのご先祖様は体調が悪かったんだっチュ。少し頭もボーッとしていたらしくて、だから誤った日付けを教えてしまったんだっチュ。決して、ライバルを減らそうと企んでいたわけではないんだチュ」
皆の視線が、ねずみから猫へと移された。
「そんニャの信じられニャイよ。ねずみくんのご先祖様のせいで、ぼくたちねこはこの先もずうっと、干支の仲間に入れニャイんだ。こんニャ酷いことってニャいよ」
「でも、君のご先祖様にも非はあるっチュよ。自ら神様へ確認すればよかったのに、その辺にいたねずみに聞いたんだっチュから」
「ニャッ、でもっ」
「だから、もうそろそろこの恨みは忘れてほしいっチュ。いい加減、ぼくたちねずみを追いかけ回すのをやめてくれと、野良ねこくんたちに言っといてチュ」
でもニャア、と前足を舐めながら悩み出した猫には、仲裁上手な鶏が片羽を上げた。
「ねずみくんの言う通りよ。いつまでもそんな昔のことを根に持っていても仕方ないわ。これを機に、仲良くなりましょうよ」
皆がうんうんと頷いたのを見てしまえば、不服ながらも同調せざるを得ない。
「わ、わかったニャ。今晩集会があるから、そこで仲間に伝えるニャ」
その言葉ににっこり笑ったねずみは、「ありがチュウ」と言った。
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