最終章 光莉と大地、それぞれの道

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* 中学校の卒業式は、3月15日。 親父とお母さんも来てくれるそうだ。 体育館での長い卒業式も終えて、校庭や生徒玄関前などで生徒たちが記念撮影や、動画を撮っていたり、在校生たちや先生方と話している。 なのに。 俺たちそっちのけで、何故かお母さんが盗撮されている。父親たちはお母さんをチラチラと見て、 「坂井雪子さんだー!!」 「相変わらず綺麗だねぇ」 などと話していて、俺はムッとしながらそのカメラの前にあえて歩いて行って、父親たちを見つめた。すると、そいつらはハッと顔を見合わせていたけど、俺の後ろから親父もやってきて、俺たちが男たちをギロッと睨むと、流石に親父の圧には勝てないのか、そいつらはそそくさといなくなった。おそらく自分の子供たちのそばに向かったんだろう。最初から自分の子どもを撮れ!! 「ったく。タバコ吸いに行ってたら、すぐこれだ。ヤっとくか」 親父はボソッと呟きながらお母さんに歩み寄って、肩を力強く抱き寄せた。 「お前、ここでもするぞ?」 「は?何言ってるの?いつまで馬鹿なの?ずーっと馬鹿なの?」 お母さんは親父を見上げてそう言うけど、その表情は嬉しそう。 はいはい。 勝手にやっててください。 エッチしたいなら、どうぞどうぞ。 そこに祥生たちもみんなやって来て、 「おじさん。おばさん。こんにちは」 とうちの両親に挨拶した。
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