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「理はさ、13か14の時に告られて付き合った女の子がいたんだって。まぁ、多分ハジメテの子だと思うけど。その子が理と待ち合わせをしてて、理、約束忘れてたんだって。そしたら、その子…襲われちゃったんだ」
「えっ?!」
突然重い話しになって、俺はドキッとしてしまった。まりねぇは麦茶を入れてきて、テーブルに置いてダイニングの席に腰を降ろした。二人は真顔になって俺を見つめている。
「多分、光莉にも話してないと思う。理もさ、ガキだったから、約束忘れてたことなんてなんとも思ってなかったんだろ。で、その後にその襲われた子が遺体で発見されたんだ」
「えっ…?!…じ、自殺?」
「いや。襲われて、殺されてしまったそうだ。そのチンピラはその後井上さんが直ぐに捕まえた。それで、理のことを気にかけてたんだって。理は悪くないかもしれないけど、少なくとも待ち合わせの場に行ってたなら、最悪の事態を免れてたんだろう。その子の家族は勿論、理を責めた。周りの人もね。理は自分を責めて、その頃かなり荒れてたらしい。何度も警察に補導されてさ。井上さんが親身になって、理のことを気にかけて、見守ってあげてたらしいよ。理が誰も好きにならない、恋愛なんてしないって決めたのは、その自責の念だったんだろうね。その子を死なせてしまったことを後悔しても、もう、遅い。運が悪かった。それだけなんだけどね」
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