324人が本棚に入れています
本棚に追加
「さあ。部屋でイチャイチャタイムだ!」
ソラヘンがそう言ってまりねえの手を掴んで立ち上がらせると、まりねぇは微笑んでソラヘンの手を握りしめて、
「年を考えなさい。年を」
と言って二人は顔を見合わせて笑い合った。そして、二人は振り向いて俺を見つめると、
「聖香も、お前のこと、なかなか忘れられないみたいだから、サ。二人で話して。聖香は俺に似てるのか、素直になれないで建前とかばっかり表に出すから、本心が全然分からない。俺たちじゃお手上げだから、あとは大地に任せるよ」
「そうね。すぐ逃げ腰。海外とかに逃げるとこ、そっくりすぎて、笑えないわ」
と交互に言って、手を振ってリビングから出て行った。
「え?な、なに??」
俺はまだ動揺して二人の背中を見送っていたけど、
「だ、大地?ごめんね?聞こえる?」
と聖香がまたパソコンから呼びかけてきて、ちょっとドキドキしてたけど、深呼吸をして座り直し、パソコンの画面を真っ直ぐ見つめた。
「せ、聖香…。久しぶり」
あの日、別れて以来だ。
聖香は三つ編みしてスッピンだけど、頬が少しピンクに染まっていて、可愛い。
「うん。久しぶりだね。なんか…大人っぽくなってる?」
「まさか。変わらないよ」
「ひさびさだから、かな。大地、卒業したの?卒業式終わった?」
「今日、卒業式だったよ。姉貴とは?」
「うん。光莉とはちょくちょくメールしてる。咲也くんとうまく行ってるみたいで、安心したわ」
最初のコメントを投稿しよう!