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「ほんと?」
俺は聖香の顔を覗き込むように言うと、聖香は俺を見つめて唇を結んで、
「…そ、そうよ」
と言うけど、ジーっと見つめていると、聖香は目を逸らした。
嘘、かな。
「聖香。…そっちのおじさんとは、うまくいってる?」
「えっ」
「カールさん、だっけ?恋人と三人で暮らしてるんだよね?うまくいってる?もしかして、カールさんじゃなくて、カールさんの恋人の方とうまくいってないんじゃないの?」
「だ、だい……」
「嘘ついても、無駄だよ」
「え?な、なんで?」
「聖香がもし何か嫌なこととか何かあるんだったら、俺はソラヘン連れてすぐにでもドイツに行くから」
俺が真顔でパソコンのカメラに顔を近づけて言うと、聖香は目を丸くして俺を見つめて、少し涙ぐんでいるように見えた。
「……それ、逆でしょ。昊おじさんが大地を連れてドイツに来る…ってこと、じゃないの?」
聖香はそう言って苦笑していると、俺もつい笑ってしまった。
「あ、そうかも」
「…馬鹿だね」
「馬鹿って…」
「嘘ウソ」
俺と聖香はフッと微笑み合うと、聖香はため息をついて頬に手を当てて目を閉じた。
「昊おじさんて、チャラいくせに、洞察力あるのよね。うまく隠してるつもりなのになぁ。それに大地も。でも、なんでそう思うの?」
「うん?だって、相手の人もドイツの人だろ?カールさんと聖香は血の繋がりがあるわけじゃないし、姉貴とも話してたんだ。うまくいくのかな、って」
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