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「ごめん。イイの。大丈夫。友達もいるし、何かあれば逃げ込める場所もあるんだから。なんとかなるから、気にしないで。ね?昊おじさんにもそう伝えて……」
と聖香が言いかけると、俺はまたカメラに顔を近づけて、
「聖香」
と言うと、聖香はまだ顔を上げずに俯いている。
「逃げたくなったら、いつでも帰っておいで。俺でもイイし、ソラヘンでもいい。そんな遠いところで、一人で頑張ることはないよ。いいね?無理な時は、ちゃんと教えて。約束してくれないと、今度会った時、俺は…怒るからな?」
「大地…」
「簡単に来れないって言うなら、メールでもLINEでも通話でもいい。『助けて』って一言、言って。それは甘えるってことじゃない。悪いことでもない。そういう時に、頼ってくれないでどうすんの。俺も、ソラヘンのことも、信じて。聖香が素直に言ってくれないから、ソラヘンも困ってるんだよ」
俺はそう言ってニコッと微笑むと、聖香は俺を見つめて涙ぐみながら大きく頷いて、
「ありがとう。大地」
と言って微笑んだ。ようやくまた笑顔が戻ると、俺はまた頬杖をついて微笑みながら、
「ところで、さっきのルネーっていう友達?日本語話せるの?」
と訊ねると、聖香は「え?」と言ってキョトンとして振り向いて友達を見つめて、また前を向いて俺を見つめた。
「少しね。いつか日本に行きたいって思ってる子だから、日本語勉強中」
「ふぅん。ちょっと代わってくれる」
「え?う、うん」
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