Prologue チャラ男が帰ってきた日

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あたしは坂井光莉(ひかり)。 この春から、高校2年生になる。 小さい頃から剣道を習っていて、それは今でも続けている。中学校でも剣道部。都内の大会にも出場している。結構イイ線まで行くけど、優勝はまだしていない。でも、地区予選では何度か優勝はしているけど、こんなんじゃまだまだ、あたしは弱い方だ。 高校に入ってからは、部活は週2で料理研究クラブ(お料理クラブとも呼ばれている)に入っているけど、それ以外は道場に通っている。 道場にいけば、幼なじみの榊原一真(かずま)くんがいる。2つ年上のお兄さんだけど、一真くんはもう高校を卒業して今年から大学生だから、道場にもあまり顔を出さなくなった。 一真くんが高校を卒業した日。 道場で会った時、帰り際に好きだと言われて、キスされた。でも、実は、キスはこの時が初めてではない。付き合ってるわけではないけど、キスは…実は何度かしてたりも、する。 だって、 年上の一真くんのキスは、すごく気持ちいい。きっと、上手なんだ。優しくて、温かくて、すごく愛されてるような感覚。 一真くんを選べば、あたしはきっと幸せになる。こんな風に昔からあたしのことを大切にしてくれて、こんなに思ってくれてて。 好きだって何度も言ってくれて…。 なのに、なぜあたしは未だに、この手を受け取れないんだろう。 キスは受け入れられるのに、何故、心を受け入れられないんだろう。
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