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真相判明
「ツーツーツー」
通話終了の電子音が小さく携帯から響いている。
「つまり人違いってことかい?」
お袋が恐る恐る俺に尋ねてくる。
「銀の歯型が一致したってことは、死んだのは俺の次に受診したあの爺さんだ」
俺は北風に吹かれる枯れ葉のように診察室へと連れ込まれて行った、痩せぎすのじいさんを思い出した。
「あの歯医者、訴えてやる!」
息巻く俺の前で、両親が顔を見合わせた。
「お前それ、訴えるとやっぱり公表とかされたりするのかい?」
「当たり前だろ! こっちは不利益被ってんだからよ」
「それはさぁ、やめといた方が良くないかい?」
「なんでだよ?」
いまいち乗り気でない両親に俺は疑惑の目を向ける。
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