どっちもどっち

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どっちもどっち

 10年後、親父がぽっくり逝った。 喪主を務めた俺を見て高齢の親族が数人、旅の道連れになりかけた。 「ちゃんと訂正して香典返しとけって言ったよな?」 「あの歳になっても、誰の葬式に出たのかって存外覚えてるもんだねぇ」 「この歳になって同窓会の知らせが一回も来ないのはそういうことかよ!」 「それはただ単にお前が嫌われてるだけだろ?」 母ちゃんと言い争いながら、俺は救急搬送されていく親族を見送った。 親父の葬式以来、俺は親族からキリストと呼ばれている。 新聞を開くと、青いマスク姿の槍杉先生が地方版に大きく取り上げられていた。 ドヤ顔でカラー写真に収まった槍杉先生の 後ろでは、俺の歯型が金色に光っている。 「フェニックスとキリスト、どっちが格上かな?」 俺は自嘲を込めて呟いた。  
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