更なる犠牲者

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更なる犠牲者

「何だったんだ、全く!」 ソファーに座っていると次々と患者がやってくる。 俺の次に来た爺さんも、あれよあれよと言う間に診察室へと連れ込まれていった。 (この爺さんも、中で勝手に歯型取られるんだろうな) 俺は爺さんにちょっと同情を含んだ視線を送った。 続いて、少しぽっちゃり気味な黒髪の少女がおずおずと入ってきた。 高校生くらいかな? とか気無しに見ていると、突然スタッフが彼女に駆け寄り両サイドから取り囲んだ。 「確保!!」 「確保とか言ってやるなよ! 犯人じゃねぇんだよ!」 思わず突っ込んだ俺に怯えた子鹿のような目で助けを求めながら、彼女は診察室へと拉致られていった。 (すまない、自動ドアをくぐる前に止めてやるべきだった……) 俺は彼女に心の中で謝罪した。
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