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中毒になればいいのに
"喫茶店好きなんだよね"
理解できなかった
カフェの方がお洒落だしいいじゃん
本音は言えずに君の顔を見つめた
"カフェは行かないの？"
"行くよ？作業する時は"
そうか、君は仕事があるもんね
分からなかった
喫茶店とカフェの違いとか
何がそんなに君の心を動かして
キラキラした目をさせるのかとか
"コーヒーはすき？"
"すき"
"俺もすき"
コーヒー抜けちゃえばいいのに
"一緒に行きたいね"
"行こう、次会うとき"
君と会えるのが今の楽しみ
なんて言ったらどんな顔するんだろう
いつも忙しそうにしている君
仕事はゆっくりだよ？って言ってたのに
会える時間が少なくなったのは
なんでだろう？
"仕事はどう？"
"うーん、今週はマシ"
"会いたい"
君の温度を肌で感じたくて
君以外の女の子じゃ満足できなくて
最近言われた
忙しくて会えないかも、
他にいい子見つけてもいいんだよ？
気づいてる？
好きになり始めてること
電話しよう、ってすると
いつもなにか褒めてくれる
頑張ってるもんね、って
そういうところいいね、って
その言葉に救われていたこと
布団の中なのに寒くてたまらない
"会う？"
の二文字にどんだけ、にやついたか
"今日は？"
"今友達と飲んでてその後なら？"
そうやって期待させるから
"ごめん、朝までコースだわ"
"そっか"
"明日は空いてるよ？"
"どこ？何時にする？車でいくわ"
ほいほいついていって
馬鹿みたいだ
でも、じゃないと…
"ごめん、気持ち悪い"
朝方に君からのメッセージで起きた
もうすぐ会えると思ってたのに
"じゃあ、またにする？"
従順な犬みたい
そんなに待てるか分からない
でも、待つしかないのかな
"ほんとごめんね、埋め合わせする
ちゃんと時間作るから、ごめんね"
申し訳なさそうな絵文字が一緒だった
時間を作ってくれるって言ってるし
次こそは、きっと、会えるんだ
君を少しでも感じたくて行った喫茶店
カランカラン
煙草吸えるんだ、知らなかった
嫌いだけど、好きにしたら？
って言っていた君の言葉
そうだよな、言ってたんだよな
煙草と珈琲が好きな男に
砕けるかと思うぐらい
歯に力が入っていた
湯気が出ている珈琲
自分の姿が映った
何してるんだろう、君はここに居ないのに
珈琲の中に飛び込みたい気分だった
ああ、足りない愛情を注ぐかのように
白いつぶを入れた
銀色のスプーンでぐるぐる
溶けるまでかき混ぜた
中毒になればいいのに
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