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記憶の中にいた、君の言葉だったのか
飲みに行った
ほぼ、知らない人
黒髪マッシュ
雰囲気じゃなくて
本当に格好よかった
長めの前髪の奥にみえた
綺麗な瞳と整った眉毛
と反して
自信なさげな彼
レモンサワーで乾杯
"安定してない人ってどう?"
"安定してないとは?"
"叶うか分からない夢を追いかけて
バイトでつないでる年上"
そんなに年は変わらない
"夢追いかけてていいじゃん
好きなことしないと人生楽しくない"
"そう、かな…?"
ちゃんと仕事した方がいいよって
言ってほしかったわけ?
それなら、人違えてるよ
"結局、全て捨ててでも好きなこと
したくなるんだし好きな時にした方がいい"
グラスのお酒をぐびっと飲み干した
おかわりは、梅酒、お湯割り
"そんな自信ない
恋愛する自信もない"
じゃあ、やめちゃえば?いやなら、
はじめたいと思うときに飛び込んだらいい
受け止めてくれる人、きっといるよ
そういう人、みつけるまで飛び込めばいい
"自信なくてもいいけどさ、
自分のことは好きでいなくちゃね"
"うん?"
"じゃないと寂しいじゃん?
いいねって言ってあげなきゃ"
"ポジティブ〜、大事だよね"
その時急に、鼻の奥
珈琲の香りでいっぱいになった
彼は残りのレモンサワーを飲み干していた
すみません、ふつうのレモンサワーで
ふつうって何だよって思った
求めても手に入らないよ
君が作るものなんだよ
ふつうっていうのはさ
そういうこと言う奴が苦手、だ
だった…
"俺は俺が好きだよ、
自分のこと好きじゃないと寂しいじゃん"
ああ、そうか
私の言葉じゃなかった
記憶の中にいた、君の言葉だったのか
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