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ふー、とため息をついて心に余裕が出来たので他の人の自己紹介をちゃんと
聞こうと顔を上げるとホスト教師と目が合った。ちょうどこっち見てたのか。
まあ、僕の顔は前髪で鼻の下辺りまで覆われていて目が合っても
気づかんだろうがな。
かと思ったら、ホスト教師の手がこっちに向かって伸びてきた。
え、何何何。
ホスト教師の手が長い前髪に触れてバサッと持ち上げられ
視界が明るくなる。驚いて固まっているともう一方の手で腕を捕まれ、
ホスト教師の方に上半身がぐいっと引き寄せられる。
僕の体に押されて机がガタッと前に進んだ音が静かな教室に響き渡った。
「霧夜さー、顔すっげぇかわいいんだから隠すのやめろよー。」
そう言いながらホスト教師の顔が近づいてきて額に軽くうすい唇が触れる。
『ひゃッ、、、?』
教室のそこら中で息を飲む声や小さな悲鳴が聞こえた。
何をされたのかを理解して、思考が完全に停止する。
え、は、?
ホスト教師はにやっと笑って両手を離し、重力のままに僕はカタン、
と椅子に座った。
ホスト教師が、クラスに向かってこういった。
「さっきの自己紹介で言い忘れたことあったわ。」
そして、いまだフリーズしている僕を見て笑いながら、
「信条は、一度気に入った奴は絶対落とす、だ。」
最悪だ。
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