【10.頑張る】

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【10.頑張る】

 乙女ゲームの舞台は学園だった  その学園に俺は15歳から行くことになっている。  エリナはその2年後だ。  ならば俺のすべき事は、エリナが学園に来る前に確たる地位を築き、エリナが上手いこと悪役令嬢から外れるルートに導くこと。  だから勉強だ。  とにかく勉強をして、成績トップで入学し、なんやかんやで生徒会長になって学校を牛耳るのだ。  そして、学園をエリナのための花園へと造り変える。  そういえば、ゲームだと生徒会長はこの国の王子で、攻略キャラの1人だったな。  そんでもって俺は、その王子に|媚(こ)びへつらうメタボだったと思う。  よし、いまのところメタボではない。  少しずつではあるが、着実に違うルートに進めているはずだ。  しかし、何故か俺はエリナに嫌われているぞ。  なんかめっちゃ避けられてる気もするし……  これはどういうことだ?  口を聞いてくれないどころか、食事以外でエリナに屋敷で会うこともないんだけど?  まるで、誰かが俺の歩くルートや、いる場所を教えているかのように……  これはどうすべきか?  もういっそのこと、このままの状態で影から見守る立場で行くべきか?  うーん。  それはちょっと寂しいよな。  よし、もっと男を磨かこう。  兄として、男として、エリナが無視できなくなるような人間になろう。
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