悪役令嬢のお兄様【短編版】

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【3.エマ・アナク】  私、エマ・アナクは、クランベル家に仕える13歳の侍女(メイド)。  10歳の時に、家族が生きていくためのお金が必要で、クランベル家に買われて屋敷で働くことになった。  悪い噂ばかりが耳に入るクランベル家。  身分など関係なく、女というだけで働くことが出来る。  理由は1つ、夜な夜な領主であるロイド・クランベル様の慰み者としての副業があるから。  ううん、もしかしたらそっちが本業なのかも。  私もいずれ、先輩方の様にそうなるのだろう。  ベットの上で白い豚に跨りながら、ギシギ〇アン〇ンする日が来るのだろう。  お金の為、涙を堪えながら耐える先輩たち。  世の中ってどうしてこんなに不公平なのだろう。  ロイド様のメイドに対しての扱いは酷い。  人を人として見ていない。家畜や何かと勘違いをしているかのよう。  クランベル家は代々そうだと聞いている。  重税を領民に課して、自分たちは贅沢な日々を送る。  それを、私はこのまま近くで見続けていくのだろう。  そう、私は思っていた。  思っていたのだけど、何か、おかしい。  何かって、それはクランベル家の長男であられるルーク様がおかしい。  目線がロイド様と同じじゃない。  むしろ、私たちメイドと同じなんじゃないかと思う時だってある。  ロイド様から言われた事のない、感謝の言葉を言われる。 『美味しいご飯をいつもありがとう』  みな、耳を疑ったみたい。  あの『ホワイトピッグ』から何故?と  この前なんか、沢山の洗濯物を干しに外へ持っていこうとしたら、既に外に置いてあってルーク様が干している最中だった。 『大変そうだから僕も手伝うよ』と、お声を掛けてくださった。  本当に思う。  なぜ、あのブタからこのような方が御生まれになったのだろうと。
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