悪役令嬢のお兄様【短編版】

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【5.言っちゃってるよ……】  領民の様子を見に行った翌日の朝食時。 「父上、お話があります」 「うむ。どうしたんだルーク」 「はい、昨日見た領の農民たちですが、手を抜いてますね。もっと働けます。そしてもっと税を払えるはずです!」 「なに? それは本当か?」 「本当です。といっても、わざと手を抜いているわけではなくてですね。効率の良い働き方を知らない無能さんたちなのです」 「そうか、ならば効率よく働かせねばならんな」 「はい、そこでお願いがあります」 「なんだ?」 「僕に農民たちの面倒を見させてくれませんか? 指揮を取らせてほしいのです。その為にも是非資金を頂ければと」 「よく言ったぞルーク。より税を納めさせるために、お前にその権限と資金を与えようではないか。これを持っていけ」  そう言ってロイドは、ポケットから鍵を出して俺に手渡した。 「これは?」 「地下に5つある金庫部屋の鍵だ。1番奥にある部屋の金貨を好きに使うがいい」 「ありがとうございます、父上」 「何、世の中、金が全てだ。それなのにお前は何故か金に興味が無いから心配していたとこだ。存分に搾取するがよい」 「そ、そうですか……(普通に搾取って言っちゃってるよ)」  脂ぎった顔で、ニタニタしながらロイドは俺に笑いかけている。  収入が増えるかもしれないと知って喜んでるみたいだな。
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