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【6.見た目は……】
「これだけあれば大丈夫かな?」
この世界のお金の価値がいまいち分かってないけど、とりあえずこれで足りるだろうと安易な考えで、領民1人当たりの年収に相当する金貨1枚を200枚もって俺は屋敷を出た。
その俺に、なぜかエマが付いてくる。
「何、エマ?」
「何じゃないですよ! 御一人でどこに行かれるんですか!? お供も連れないで」
「どこって、村長ぽい人のところだけど?」
「村長ぽいって……どこの村長さんですか?」
「確か、カーナ村ってとこ」
「その村でしたら私が住んでいた村の近くです。交流もありましたから案内しますよ」
「そっか、そいつは助かるな」
「もう、ルーク様はクランベル家の跡取りなんですよ。次期領主様なんですよ。誘拐とかされたらどうするんですか」
「ああ、それなら大丈夫。ちゃんと鍛えたから。学園の武闘大会やイベントでも活躍できるように鍛えたから」
「イベント? 何ですかそれ?」
「気にしないで、こっちの話だから。とにかくその辺の野盗程度には負けないよ。僕は強くならないといけないんだ。エリナを守る為にもね。まぁいいや、来るならエマも手伝ってね」
「元よりそのつもりです。私はルーク様に一生仕えると決めてますから」
「一生って……僕のお嫁さんにでもなるつもりなの?」
「な、なななななななな何を仰るんですか!? そんな滅相も無い!」
「冗談だよ。一生とか言わなくていいから。エマはエマで自分の将来をちゃんと考えなよ」
「うぅ……本当にルーク様は10歳なのですか? 疑ってしまいますよ」
「見た目は子供、頭脳は大人、その名は」
「はい?」
「何でもない、行くなら行くよ。日が暮れちゃう」
「ああ~、待ってくださいよ~」
こうして、俺はエマと一緒にカーナ村に向かった。
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