8人が本棚に入れています
本棚に追加
【8.エマの日記 その1】
〇月2日
ルーク様は素晴らしいお方だ。
領民の生活の事を真剣に考えていらっしゃる。
この前もカーナ村に行って、村の生活を良くするために尽くされていた。
薬や医師が不足してると聞けば、領土の外まで行って医者を雇ったり、薬の調合方法を自ら学んだりされていた。
水路を作る知識が無ければ、本を漁って自ら率先し、井戸と水路を領民と作り上げた。
みな、ルーク様に多大な感謝をしている。
私はこのような方を主に持つことが出来てとても光栄だ。
しかし、人使いが荒い。
畑を耕す人手が足りないからと、私にまで農作業をやらせる。
私専用の畑まで作りやがった。
やたらと買い出しに付き合わせるし、眠れないからと言って疲れきった私に子守唄を歌わせる。
屋敷での仕事だって沢山があるというのに。
だけど、文句は無い。
ルーク様も頑張っていらっしゃるのだから。
「エマ、まだ起きてるのかい? 明日は朝早くから、そら豆の収穫に行くから早めに寝てね」
「はい、そのようにします」
あ、文句あったわ。
「ルーク様」
「なに?」
「一応、私も女です。部屋に入る際はノックをして頂けないでしょうか。この様に下着姿の時もありますので」
「ああ、それなら気にしてないから安心して。目に毒とか思ってないから」
ど、毒って……。
「私が気にしてしまうのですが……」
「大丈夫だよ、大きさが全てじゃないから。じゃあ早く寝るんだよ。おやすみ」
「お、おやすみなさいませ」
ロイド様みたいに手を出されるのも困るけど、これはこれで辛い……。
最初のコメントを投稿しよう!