【8.エマの日記 その1】

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【8.エマの日記 その1】

 〇月2日   ルーク様は素晴らしいお方だ。  領民の生活の事を真剣に考えていらっしゃる。  この前もカーナ村に行って、村の生活を良くするために尽くされていた。  薬や医師が不足してると聞けば、領土の外まで行って医者を雇ったり、薬の調合方法を自ら学んだりされていた。  水路を作る知識が無ければ、本を漁って自ら率先し、井戸と水路を領民と作り上げた。  みな、ルーク様に多大な感謝をしている。  私はこのような方を主に持つことが出来てとても光栄だ。  しかし、人使いが荒い。  畑を耕す人手が足りないからと、私にまで農作業をやらせる。  私専用の畑まで作りやがった。  やたらと買い出しに付き合わせるし、眠れないからと言って疲れきった私に子守唄を歌わせる。  屋敷での仕事だって沢山があるというのに。  だけど、文句は無い。  ルーク様も頑張っていらっしゃるのだから。 「エマ、まだ起きてるのかい? 明日は朝早くから、そら豆の収穫に行くから早めに寝てね」 「はい、そのようにします」  あ、文句あったわ。 「ルーク様」 「なに?」 「一応、私も女です。部屋に入る際はノックをして頂けないでしょうか。この様に下着姿の時もありますので」 「ああ、それなら気にしてないから安心して。目に毒とか思ってないから」  ど、毒って……。 「私が気にしてしまうのですが……」 「大丈夫だよ、大きさが全てじゃないから。じゃあ早く寝るんだよ。おやすみ」 「お、おやすみなさいませ」  ロイド様みたいに手を出されるのも困るけど、これはこれで辛い……。
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