絵のモデル

1/1
前へ
/10ページ
次へ

絵のモデル

『なあ、また笑顔で描くのはやめてくれないか』 モデルの注文を無視するなよ。こっち見ろよ。 『わたしはお前の作風が嫌いなんだ』 一日中どころか何日も起き続けている。筆を走らせるその気力はどこから来ているのか。こいつを止めようとしたけどこうして私を描き続けている。 『いいかげん止めろ、お前には無理だ』 私の声が部屋に響くなのにお前は私を見ない。 キャンパスの中に映る景色は学生の時の部屋だ。教科書やマットレスが片づけられた卒業式の日の景色。99枚目の完成は間近だ。 どうにか考えるも知恵はなく結局、昨日と同じく昔話を話すことにした。 100枚目を完成させたらだめだ。こいつは死ぬ気だから。 
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加