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絵のモデル
『なあ、また笑顔で描くのはやめてくれないか』
モデルの注文を無視するなよ。こっち見ろよ。
『わたしはお前の作風が嫌いなんだ』
一日中どころか何日も起き続けている。筆を走らせるその気力はどこから来ているのか。こいつを止めようとしたけどこうして私を描き続けている。
『いいかげん止めろ、お前には無理だ』
私の声が部屋に響くなのにお前は私を見ない。
キャンパスの中に映る景色は学生の時の部屋だ。教科書やマットレスが片づけられた卒業式の日の景色。99枚目の完成は間近だ。
どうにか考えるも知恵はなく結局、昨日と同じく昔話を話すことにした。
100枚目を完成させたらだめだ。こいつは死ぬ気だから。
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