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出会ったきっかけ
学生の頃、天才のお前にライバルだと言われた。初めて課題作を出した時、構図が全部丸かぶりした。朝焼けの空を描いた作品だった。のに私の絵と印象が違う。が近くに置けばなにかと思われる。だからできる限り遠くの教室の隅に置いた。翌日、教室が騒々しかった。
お前は私の絵の前にいた。左手をあごに置いていて、右手は私の絵をなぞる様に宙で踊っている。
たしかに有名人なお前がこんな不思議な儀式をしていたら目立ってさわがしくなる。時計を見るともうすぐチャイムがなる時間だ。お前も、もうそろそろ席に着くだろうと思って見ていた次の瞬間、お前は自分の絵を私の絵の隣に持ってきたんだよ。
それで並べて見比べた後、お前はこういったな。
「同じ物ものなのにこんなに違うものになるのか」
チャイムが鳴らなかったら今すぐにでも別の場所に移動させたいくらいだった。
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