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あたりはいよいよ暗くなってきました、どれだけちいさな星も映えさせる時間の顕現です・・・
ビュウビュウ鳴く一陣の冷たい風が、夜の調べを告げる汽笛のようです この島を吹き抜けるとき、指を伸ばしてあちらこちらに生い茂った青いススキの髪を生え際まで洗いながら・・・(季節が移ろうたびススキは、島の顔を情緒豊かに彩ってくださります)
とても良くできてるーーわたしは海沿いの祭壇にいくつも並んでいる、完成された石像を見ていました 石像はこちらに背を向けるように肩をそろえており、太平洋を静観していますーーきっと、島の守り神の魂が宿ってくれるはずよ
かれも水平線にしぼんでいく日に一途の視線を注いでいます・・・いいえ、もっと遠くの彼方を見据えていたのかもしれません
ララクは決心の囁きを洩らしますーーありがとうパスクア ぼくね、もっと大きくなったら・・・この島を出るよ
外の世界を知って、たくさんの勉強しないと、守りたいものを守れない気がするんだ
ーーふたりだけの秘密だよ? パパとママにだって言ってないんだから 言えないんだから
どうしてわたしに教えてくれたの?ーー口にした瞬間、野暮だったかなと恥ずかしくなりましたーーララク・・・ありがとう わかった、ふたりだけの秘密ね
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