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これまでと同じ場所で、何十本もの枝を失ったものの、それでもしっかり立っていたのです
神さま達を奉った石像も、島を囲んでいた森もーーわたしが助かったのは、きっと森のおかげでしょうーー人けもありません しかしときどき忘れたころに、だれかの泣き叫ぶ声が幻聴のように聞こえてくるのでした
とにかく死の静けさが、どうしようもなく満ちているのです
あたりまえだった日常は何の前触れもなくかなぐり捨てられ、一寸の希望も残らず、歴史にとって価値のない化石のセグメントに成り果ててしまうなんて・・・
しかしそんな中でも、わたしにとってひとつの微かな望みが、漠然とした期待が胸の隅っこで渦巻いていました
ララク・・・!
わたしは早くあの子の顔を見て安心したかったんです
夜になれば、きっと会うことができる
だって、星を見る約束をしていたんだから
そう信じていました・・・
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