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気づくと、冬がおりてきました
ほろほろと蛍のような雪が降ってきまして
この名もなき島を、余すところなくいたずらな銀の斑に染めてしまいます
かと思えば 陽炎をゆらゆら燃やされ、春の巡礼が煽られる番です
波のせせらぎを運ぶのどかな風は、思いを募らせる葦笛の音のように澄んでいてーー
そして
かれのいない初めての夏がやってきました
いくつもの季節が代わる代わる巡りまして、どれくらい虹の朝や雨の夜を越えたでしょう
あの子と会うことは
もう ありませんでした
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