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あの夏の正午、ひとりのおとこの子と出会うときまで・・・
そう、あの日ーーちょうどわたしがお日さまの澄んだ日差しに微睡んで、うとうとしていたときです
ゆっくり黄色く強まる日光は、優しい温度でわたしたちを、踊るようにきらきら照らしておりました
するとわたしのおへそ辺りからーーつまり、幹のことですーー何かがよじ登ってくる気配に、ぎょっと目を覚ましました
そんなことをするのはリスくらいのものでしょうけれど、生憎とわたしにリスの友だちはおりません
わたしと話をして下さる物好きな方と言いますと、お空で嫌われてあっちに行けと風に吹き飛ばされてきた雨雲くんや、渡り鳥のコオバシギさんくらいのものだからです
見ると、そこにいたのは見知らないおとこの子でした 人の年齢は詳しくありませんが、きっと七つか八つほどの幼さでしょう
急いでいるようすで、せっせせっせとわたしの身体をよじ登り、あっという間に首もとまで辿り着こうとしています
思い切って、わたしは尋ねましたーーそこでなにをしているの?
わわっーーおとこの子は驚きのあまり慌てて手を離してしまい、そのまま落ちて尻もちを着いてしまいました
痛てて、びっくりした・・・
ご、ごめんなさい、急に話しかけたりしちゃって きみ、怪我はない?
ううん、だいじょうぶ 骨が折れるような高さじゃないし・・・ぼくのほうこそ、勝手に登ってごめん
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