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どうやら、ほんとうに大丈夫のようでおとこの子はすくっと、立ち上がるとおしりの土汚れを手で払いました わたしはほっと、胸を撫で下ろしました
ところで、どうしてあたしの身体に登っていたの?
おとこの子はばつが悪そうにーーあのね、さっきまで村のみんなで石像をつくってたんだ。こんどは海沿いに並べるみたい。いまは休み時間で、友だちとかくれんぼしていて・・・
そうだったのね
村長からも言われてたんだ、あの丘の木は大切だから近寄るなって この島でいちばん歴史の深い木だからって 知ってたんだけど、つい・・・
おとこの子は話しながら声がしぼんでいき、つぶらな瞳に涙をいっぱい溜めこんでしまいました
だれだって過ちを犯すものよーーわたしは慎重に言葉を選びましたーーあなたは優しい人になるわ
ほんとうに? ありがとう・・・そっちも痛かったよね
ぜんぜん平気よ
もう若くもないと思って・・・
心配してくれてありがとう 確かにこう見えて、あなたのご先祖さまが産まれるずっとむかしから、生きているのよ だけど身体は丈夫なの
えっ、めちゃくちゃおばあさんじゃん! ジャイアント・ツリーだ!
うふふ そうね、だけど女性に年齢を尋ねることは、控えたほうがいいかな
どうして?
デリケートな問題だからよ いつまでも、おんなという生き物は若くありたいものなの・・・わたしだって、若いころはプルメリアの花や珍しい木の実を携えていたわ けれどもう、いくらか葉っぱを残しているだけ・・・月日を重ねるごとに、さまざまな現実が突き付けられてしまうの
ふうん・・・そっか、わかった 気をつけるようにするーーかれなりに解釈してくれたのでしょう、じっとわたしの話を聞くと、神妙な面持ちで数回頷かれました
・・・ところで、坊やーー
坊やじゃないよーーかれは静かに訂正しましたーーぼくはララク、きみの名前は?
ララク・・・すてきな名前ね 残念だけど、わたしに名前はないの
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