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そ、そうだったの・・・わたしは気づかなかったわ、雨のおかげできもちよく眠っていたのかしらーーなぜか無性に恥ずかしくて、言い訳でもするように口ごもってしまいます
しかし、ララクは何かを考え込んでおり、地面に視線を落としたまま、ぴくりとも笑いません
お互いに無言のまま、どれくらい時が流れたでしょう 日の沈む音すら聞こえてきそうな沈黙が、まるで大気中の水蒸気が雲をこしらえるのにかかる時間くらいつづきました
その沈黙を、アオムシが葉を齧るようにララクは破りましてーーぼくね、知ってるよ この島に雨が降らなくなったのは、たくさんの木を、ひとが伐採しているからなんでしょ? 研究者っていう偉いひとが話しているのを聞いちゃったんだ
そこでようやく呼吸をはさみ、かれは思いの丈を吐きつづけますーーみんな、おかしいよ・・・どうしてそこまでわかっているのに、木を切ることをやめないの?
石像を運ぶために必要な道具だっていうけれど、守り神を奉るために、自然を破壊していいわけがないよ
木を切れば、木の実も取れないし
渡り鳥もやって来ない 雨も降らない
・・・これが神さまの望むことなの?
もし、きみを切らなきゃいけない日が来るって考えたら、ぼくは自分が死んだほうがましだよ・・・
そのとき、かれの声が弱々しく掠れていることにきづきました ララクは泣いていたのです きれいな瞳に溢れんばかりの涙を湛えて、それでも目を逸らすまいと、わたしのほうをじっと見つめているのです
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