俺が娘に買われた件。

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俺が娘に買われた件。

「ど、どういう事だ? この子、俺を見て、『スカイライン』とか、『クルマ』とか言ってたぞ?」 『E-HCR32 日産スカイラインスポーツセダンGTS-t TypeM』 それが俺のかつての愛車で、事故の時にもそのクルマに乗っていた。 それに、あの子………。 まさか!? そんな事考えていたら、不意に女性の声が俺の頭の中に響いてきた。 「もしもし。聞こえますか? 私は転生の女神。 あなたの頭の中に直接語りかけてます。」 て、転生の女神だと? その女神様が俺に何の用だ? 「まず、あなたはあの時の事故で亡くなりました。 そして、あなたのクルマもその時の事故で廃車になりました。 しかし、あなた自身にも、あなたのクルマにも家族に対する強い想いが残っていました。 なので、あなた自身とあなたのクルマをまとめて生き返らす事にしました。 あなたのクルマの中にあなたの思念を込めてね。」 という事は俺はクルマとして生まれ変わったのか? 「平たく言うとそうなりますね。 そして、さっきの女性。 あれはあなたの娘です。」 !?やはりそうか。 事故の時、まだ小学校に入ったばかりだったが、どことなく面影が残っていた。 そうか。あの子があんなに大きく。 思わず目頭が熱くなる。 それと同時にヘッドライトが濡れてきた。 あっ、クルマにとっての『目頭』って、ヘッドライトなのか。 ひとつ賢くなった………。 ってオイ!! 俺はそれでいいのか?
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