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「でも、R32なら、アタマの軽さを狙って、SR20にスワップという手もあったでしょうに。」
転生の女神様が話しはじめる。
「あくまでRBにこだわるなら、RB25。
でも、至高はやはり、RB26ですよね〜。
なんと言っても、伝家の宝刀「GT-R」の肝ですから。」
…………というか、この女神、なんか随分とクルマに詳しいな、オイ。
「女神様。アンタ、只者じゃないだろ。」
思わず女神様にツッコミを入れると明らかに慌て始めた。
「いやいやー。私、どこにもいる、ありふれた女神ですよー。」
いやいや。「女神」なんて、どこにでもありふれてはいないだろ。
「けして、昔、S13で夜な夜な峠を攻めてなんていませんよ。」
マジか、オイ。
ガチの走り屋じゃないか。
「S13って、ある意味王道じゃないか。」
「………やっぱりバレました?」
女神様が気まずそうな顔をこっちに向けてくる。
「あぁ、バレバレだ。」
女神様がため息をひとつつくと意を決したように話し始めた。
「実は私、女神になる前は人間でして、S13に乗ってました。
しかし、峠を攻めている時に、ミスって土手に刺さり、命を落としてしまいました。
その後、こちらの世界で神の採用試験を受けて『転生の女神』になったわけです。」
神様って採用試験があるのか………。
思わずそう考えてしまった。
「親御さん、悲しませたらダメだぞ。
親はな、子供に先立たれるのが一番辛いんだからさ。
まぁ、家族を遺して逝っちまった俺が言うのもなんだが。」
「まぁ、それはそうですよね。
親には悪い事をしたと思っています。」
女神様がなんかしゅんとしていたが、ふと気づいたかのように声をあげた。
「って、なんか、立場が逆転してません?」
「あっ、そうだな。」
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