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白いヒトリゴト
「本当に、寒くなってきたな」と、白い息を零しながら、あなたは首をすくめて見せました。雪が降ると言っていましたから、そうなのでしょうね。と私は思いましたけれど、会話することは諦めていましたから、あなたを見ることに集中していました。いつもとは逆になりましたが、私はとても楽しいです。
体が芯から冷えるということは、こういう事なのでしょうか?時間の感覚が鈍り、波紋のように広がるのはキーンとした微痛。あなたがかき氷を食べた時のあの頭痛と、少し似ているのかもしれませんね。ふふふ。
今思い出すのは、初めてあなたに手折られた日。悩ましい顔つきで、ぎこちなく触れるから、わざとあなたの指を濡らしてしまいましたのに、忽ち後ろめたいような眼差しを向けるから、私も慌て俯いてしまいました。その後からは、あなたにすべて委ねてあげたのですから、もうよろしいですよね。
あっ、とうとう、ふわふわした白いものがチラチラしてきたようです。あなたは最後の仕上げをばかりに、腰を入れ直して進めてしまいました。サクサクとか、じゃりじゃりとした音が最初は響いてきましたが、すぐに気にならなくなりましたけれど、なんだかとても心細いです。
私がいない間に、私よりもあなたを楽しませるものに出会いませんように。
雪よりも先に土が私に降りつもる。
私はもう眠りますから、暖かくなったらまた会いましょう。
※サギソウ ラン科の白い花。和名は「白鷺」から。花言葉は「無垢」「清純」「繊細」「神秘的な愛」「夢でもあなたを想う」
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