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空の色とか高さとか、温度とか湿度とか、空気の匂いでふと思い出す、カラフルすぎてモノクロな瞬間がある。
過去だの現在だの未来だの、誰が名付けたのだろう。
未来があるから現在や過去があるのか。
過去があるから現在や未来があるのか。
誰がそう決めたのか、太陽が昇れば朝と呼び、太陽が沈めば夜と呼ぶ。
私という世界の中で7670回あまりのそれを繰り返したところで、空と海の境界線で溺れた夕陽は純白の地獄に置き去りにされ、朝陽は漆黒の楽園に監禁された――――。
いくら前を向こうと、どれだけ上を見上げようと、少しでも後ろを振り返れば、容赦なく下に引きずり込まれた。
どこが前なのかもわからないまま飛んではその度に溺れ、後方から迫り来る前方を避けながら一方通行を逆走した。
空は太陽が焼き尽くし、海は廃色となった空の後を追い、泥水が架けた虹に与えられた色はベンタブラックだった。
いくら天を仰ごうと、どれだけ地に足をつけようと、虹色の虹が輝く空色の空は今日も幻影で。
そんな『今日』は24時間を何度繰り返しても『明日』にはならなくて、当然『昨日』にもなれなかった。
あと1秒、たった1秒で『明日』になれるその瞬間も、そのたった1秒は60秒前のさっきにも60万秒前のさっきにも3千万秒前のさっきにも勝てず、3億秒前のさっきにも敗れた。
それでも、髪も爪も何十回と切ったし、ショートパンツもミニスカートも履かなくなった。
喉を潤してくれていた500mlパックのミルクティーは350ml缶のビールにバトンを繋ぎ、ナチュラルを引き立てていたドラッグストアコスメはデパートコスメに一張羅の結界を施させた。
何万時間もの『今日』を過ごした場所に転がる酸素には火を灯せるほどのインパクトは無くて、呼吸の仕方を忘れた核は朽ち果てた。故に、それを覆う器だけは最先端の正常でなければならなかった――。
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