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あれから俺は先輩にネクタイを離してもらい、少し乱れたネクタイを直していた。
「せ、先輩は何で俺のことを知っていたんですか…?」
俺はくああ、と欠伸をしている先輩にそう尋ねる。俺は先輩と関わった覚えがない。
それに先輩はともかく、俺はただの平凡な男子高校生だ。別に目立ってもいなかったから、どうして先輩が俺の名前を知っているのか不思議だった。
すると先輩は俺の顔から足先までを見た後、「……秘密」と言った。
え、何その回答…そんな回答されたら逆に気になっちゃうんですが!?
俺は先輩と同様自分の足元を見てみたが、回答はわからなかった。
ま、まさか俺の見た目が好き、とか…?
いやでも別に俺先輩みたいに超かっこいいわけでもないからな……先輩みたいな超イケメンは凡人をすきになるのかもしれないけど。
俺がそんなことを考えていると先輩は俺の考えを読んだのか、「別に見た目の事じゃねぇよ」と伝えてきた。
え、何この先輩、エスパー!?
俺がわかりやすすぎるだけ?
俺が慌てていると先輩はふっ、と少し笑った。そして俺の頭に手を乗せてきた。
こ、これが女子がキュンとする頭ポンポンってやつか…っ。
「…お前はやっぱ変わんねぇな」
変わんない…もしかして俺先輩と会ったことあったのか…?
俺が記憶の隅を必死に辿っていると先輩は「別に今はいいから、思い出さなくても」と言い少し悲しそうに笑った。
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