バレンタイン

4/4
前へ
/4ページ
次へ
あれから俺は先輩にネクタイを離してもらい、少し乱れたネクタイを直していた。 「せ、先輩は何で俺のことを知っていたんですか…?」 俺はくああ、と欠伸をしている先輩にそう尋ねる。俺は先輩と関わった覚えがない。 それに先輩はともかく、俺はただの平凡な男子高校生だ。別に目立ってもいなかったから、どうして先輩が俺の名前を知っているのか不思議だった。 すると先輩は俺の顔から足先までを見た後、「……秘密」と言った。 え、何その回答…そんな回答されたら逆に気になっちゃうんですが!? 俺は先輩と同様自分の足元を見てみたが、回答はわからなかった。 ま、まさか俺の見た目が好き、とか…? いやでも別に俺先輩みたいに超かっこいいわけでもないからな……先輩みたいな超イケメンは凡人をすきになるのかもしれないけど。 俺がそんなことを考えていると先輩は俺の考えを読んだのか、「別に見た目の事じゃねぇよ」と伝えてきた。 え、何この先輩、エスパー!? 俺がわかりやすすぎるだけ? 俺が慌てていると先輩はふっ、と少し笑った。そして俺の頭に手を乗せてきた。 こ、これが女子がキュンとする頭ポンポンってやつか…っ。 「…お前はやっぱ変わんねぇな」 変わんない…もしかして俺先輩と会ったことあったのか…? 俺が記憶の隅を必死に辿っていると先輩は「別に今はいいから、思い出さなくても」と言い少し悲しそうに笑った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加