prologue

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*** 「ねぇ、新(アラタ)。やっぱり私たちの占いが成功する日って、決まって月が半分欠けている日だと思うの。これって、お父さんの日記に書いてあったことと関係するのかしら?」 「確かに。俺達が修行を始めて五年経ったけれど、ここ二年間は占いが当たる日に必ず半月を見ている気がするな。理由はよく分からないけれど」 「あのさ。そろそろ私達も中学校卒業するし……本格的に占いのお店を始めてみない? 修行も兼ねつつ、実力を試してみたいし」 「俺もそう思ってた所だ。一ヶ月に二回、半月の日だけオープンするなら学業や身体の負担にもならないだろう。それじゃ、満(ミチル)がセンス良い店の名前を決めてくれよ」 「ふふふ。実はずっと前から考えてたの。フランス語で半月を意味する“demi-lune”〈デュミ・リューヌ〉ってどうかしら? どことなく占いのお店っぽいでしょ?」 「デュミ・リューヌ……響きも良いし、半月を意味するなら尚更俺達っぽくて良い。そうと決まれば、さっそく高校入学までにはオープン出来るように準備にとりかかるか!」 「そうね。まだまだ一人じゃ力を発揮できないけど、二人一緒なら私達の力も何とか役立てる程度まで育ったことだし! 早く沢山のお客様に来てもらって、沢山の情報を集めないとね」  満月と同じ白銀色の髪を靡かせたミチルと、新月と同じ漆黒の髪を揺らしたアラタ。二人は夜空に浮かぶ星々のように瞳を煌めかせながら、心の中で同じ事を呟いていた。 《全ては、目的を果たすために――》
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