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「達規のやつ、こんな時間なのにまだ起きてるな。ガレージがまだ明るい」
「ホントだ。ふふふ、また新しい物作りを始めようとしているのかしら」
丘のふもとの家に住んでいる、高校の同級生で幼馴染の古舘達規。祖父が営んでいるアンティークショップの手伝いをしながら、趣味で新たに家具を作ったり使えなくなった家具をリメイクしたりしている。センスの良いアンティーク雑貨と店主の温かい人柄が人気で、口コミによって郊外からも多くの人が訪れている。
「さてと、星空公園までもう少しだ。ここからの上り坂が早足だと結構しんどいんだよな」
「アラタは運動不足なんだから、もう少し筋肉つけた方がいいよ」
「ミチルが知らないだけで俺は細マッチョなの」
「あら、そうかしら。ふぅ……それにしても今夜の星は、手が届きそうなくらい近く見えるね」
左右に木々が並ぶ小道を歩く二人の視線の先には、大小様々な星々がチカチカと瞬いていた。一歩一歩足を動かすにつれて星の見える範囲が増え、夜空を見入っているうちにいつの間にかミチルとアラタは丘の頂上へ到達していた。
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