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 十歳の頃、二人でかくれんぼをしていた夏休みの夕暮れ時。偶然父の書斎にある机の鍵が開いていて、引き出しの中にあった一冊の日記を手にした。 「お父さん、なに書いているのかな?」 「今ならお父さんもいないし、ちょっと覗いちゃおうぜ」  真ん中あたりのページで日記は綺麗に開き、中には一枚の写真が挟まっていた。 「……これ、お母さんだよね?」  星柄のローブを身にまとい、優しい笑みを浮かべる銀髪の美しい女性。 「日記、漢字が難しいけどなんとなく読めるぞ。これ……どういう事なんだ?」  開いていたページにはこう書かれていた。 『蛍、ごめん。  俺は二人を連れ出して、半分ずつの力を分け与えることしか出来なかった。でもきっと、お前もこの選択を望んでいたはずだよな。 「また会えるから」と言ったお前の言葉、俺は心から信じている。きっと、今もどこかで俺たちのことを見守っていてくれているんだろう?  いつか満(ミチル)と新(アラタ)に占術を伝えて、二人の能力が開花された時。その時にまた再会出来ることを信じて、俺が二人を守り続けるから――』
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