一匹目

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懐かしい夢を見た気がする。ずっと前にも見たことがある夢。 誰かが私に昔話をしてて、それを聞いている夢。話の内容は覚えているのに、昔話をしてくれたこの顔は覚えていない。 そんなものかと思いながら、外に出る支度をする。今日も仕事だ。 仕事をしながらも、夢の内容が頭から離れず、ミスが続いている。それを見かねた先輩が私に話しかけてきてくれた。 「今日ミス多いけど、なんかあった?話くらいなら聞くよ。」 「ありがとうございます。ちょっと、今朝見た夢のことが気になってて・・・」 私は夢の内容を先輩に話す事にした。最初は興味津々だった彼女は、私の話を聞くうちに少しづつだが顔色が悪くなってきたように見える。 「あんた、その夢は良くないよ。その夢を見た人はね、それから三日以内に行方不明になるっていうんだ。実際に私の先輩もその夢を見たって言ってから行方がわかってないし。」 それに、と続けて先輩は言う。 「見つかって帰ってきた人もいたけど、まるで別人みたいになってるって話だよ。なんていうか、電柱にぶつかることが増えたり、毛布に足を取られて怪我したり。」 「痛そう。」 「とにかく、今日から三日間は気をつけなよ。それ以降もまだ来れたら、大丈夫と思うし、絶対手を差し出されてもその手を取ったらだめだよ。」 そう言って、先輩はまた自分の作業に戻っていった。 帰宅して、すっかり日課になってしまった日記を書く。
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