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「もう、わたしにしときなよ。悠太のことこんなに好きな人、わたし以外にいないよ?」
「は? なっ、……」
「わたしのこと、好きにならせてみせる。だから……」
戸惑う彼の首に手を回してぐっと背伸びをし、噛みつくようなキスをする。何度も角度を変えて、彼の柔らかい唇を啄む。
「んんっ、な、中西」
「ごめん……無理なのはわかってる。何も言わないで最後に抱いてよ。わたし、悠太に抱かれたい」
これで最後になるのだろう。長かった片想いも終焉。
人から見たら、バッドエンドかもしれないけど、最後に彼に抱いてもらえるなら本望だ。あなたを愛してる。この愛し方が、歪んで、醜くて、滑稽であったとしても。
愛した記憶を、ちいさな宝石箱の中にそっとしまっておきたい。
──抱いて、夜が明けるまで。
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