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「悠太、手つなご?」
「えっ、てててっ、手!?」
「いいじゃん」
「うん……」
「ちゃんと、恋人つなぎしよ」
顔を真っ赤にした悠太を覗き込む。かわいー。ほんと好き。
そっと指を絡ませると胸が鳴る。あたたかい。喉から手が出るほど欲しかった幸せが、いまここにある。
傾きかけた夕日が、街や、畑や刈り取りの終わった田んぼをオレンジ色に染める。高くなった秋の空を、トンボが気持ちよさそうに飛んでいく。
2人の時間が、少しでもしあわせな時間になるよう努力したい。
田んぼの脇をふたりであるきながら、徒歩20分のコンビニへ向かう。
前から付き合ってたみたい。そんな錯覚をするくらい穏やかでやさしい時間。
コンビニで食後のスイーツを買い、もときた道とは違う道で家路に着く。
「いいところだな、ほんと」
「でしょ?」
「きょう、晩ごはん何にする?」
「うーん、冷蔵庫に豚バラはあるけど……」
「いいね、味噌マヨ焼きやろっか? 俺作るよ」
「なんか、カロリー高そうだね」
「味は保証するよ? さ、急ごう! 暗くなってきたし」
つないだ手を強く握り直して、ふたりで走っていく。とくとくと小さく胸がときめいた。ずっとこの時間が続いてくれたらいいのにな。
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