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ダイニングテーブルの前に向かい合って座り、缶ビールを開けて乾杯をした。
「きょうからよろしくな」
「うん、同棲初夜だしね」
「しょしょ、しょ……!!」
夜はあんなにドSなのに、狼狽て顔を赤くする悠太はいちいちかわいい。ビールを一口飲んで、味噌マヨ焼きを頬張った。
「んんっ! これいける!」
「だろ?」
「悠太、料理上手だね!!」
「早く帰ってきた日は作るから」
「勤務ってどうなってるの?」
「基本は8時から5時で、遅番は9時から6時」
それに残業が多少あるとのこと。
「遅番でも7時前には帰ってこられるよ」
「了解」
「紗矢香は?」
「うーん、5時過ぎにクール便を引き取りに来てくれるから、それ渡して掃除してあしたの準備して……7時には上がって来られるよ」
「じゃあ普段は俺のが早いな。メシは作るよ」
「いいの?」
「いいよ。疲れてたらレトルトでもいい?」
「もちろん!」
こうやって、家のダイニングで笑って話していることが、夢みたいですごくうれしい。
「あした、買い物行くんだろ? 俺も行っていい?」
「月曜日だよ? 仕事は?」
「休み」
ときどき土日と合わせて、月曜日に三連休になるよう有給を取っているのだとか。あまり取らないと叱られるらしい。
「そっか。うん一緒にいこう」
「ついでに必要な物買うわ」
「必要なものって手錠とか、アイマスクとか?」
「あのな……、俺そっちはあんまり経験ないから」
「そうなの?」
「紗矢香はあるの?」
「ない」
「やってみる?」
「……ソフトなのならいいよ」
あぁ、ピンクでもふもふのな。って悠太は言う。一応知ってんだね。
「なんか、紗矢香とこんな話するようになるなんて嘘みたいだな。こんど、性癖について語ろーぜ!!」
「わぁ! 楽しそう!!」
「そんなかわいい顔で、その性癖じゃモテモテだったろ? 俺のどこが好きなの?」
「ぜんぶ」
「ぜ、ぜぜ、ぜ……」
真っ赤になってうろたえる悠太。もしかして、ちょっとはドキドキしてくれてるのかな。確実に何か芽生えている。そう思いながら、わたしはみそマヨ焼きにぱくついた。
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