同棲初夜

2/11
7740人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
 ダイニングテーブルの前に向かい合って座り、缶ビールを開けて乾杯をした。  「きょうからよろしくな」  「うん、同棲初夜だしね」  「しょしょ、しょ……!!」  夜はあんなにドSなのに、狼狽て顔を赤くする悠太はいちいちかわいい。ビールを一口飲んで、味噌マヨ焼きを頬張った。  「んんっ! これいける!」  「だろ?」  「悠太、料理上手だね!!」  「早く帰ってきた日は作るから」  「勤務ってどうなってるの?」  「基本は8時から5時で、遅番は9時から6時」  それに残業が多少あるとのこと。  「遅番でも7時前には帰ってこられるよ」  「了解」  「紗矢香は?」  「うーん、5時過ぎにクール便を引き取りに来てくれるから、それ渡して掃除してあしたの準備して……7時には上がって来られるよ」  「じゃあ普段は俺のが早いな。メシは作るよ」  「いいの?」  「いいよ。疲れてたらレトルトでもいい?」  「もちろん!」  こうやって、家のダイニングで笑って話していることが、夢みたいですごくうれしい。  「あした、買い物行くんだろ? 俺も行っていい?」  「月曜日だよ? 仕事は?」  「休み」  ときどき土日と合わせて、月曜日に三連休になるよう有給を取っているのだとか。あまり取らないと叱られるらしい。  「そっか。うん一緒にいこう」  「ついでに必要な物買うわ」  「必要なものって手錠とか、アイマスクとか?」  「あのな……、俺そっちはあんまり経験ないから」  「そうなの?」  「紗矢香はあるの?」  「ない」  「やってみる?」  「……ソフトなのならいいよ」  あぁ、ピンクでもふもふのな。って悠太は言う。一応知ってんだね。  「なんか、紗矢香とこんな話するようになるなんて嘘みたいだな。こんど、性癖について語ろーぜ!!」  「わぁ! 楽しそう!!」  「そんなかわいい顔で、その性癖じゃモテモテだったろ? 俺のどこが好きなの?」  「ぜんぶ」  「ぜ、ぜぜ、ぜ……」     真っ赤になってうろたえる悠太。もしかして、ちょっとはドキドキしてくれてるのかな。確実に何か芽生えている。そう思いながら、わたしはみそマヨ焼きにぱくついた。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!