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いい匂いがしてきて、ふと目を覚ます。朝日が差し込んでいる寝室。悠太の姿がない。布団をかけられているが、めくればもちろん裸。そのまま寝ていたようだ。
ベッドの脇に落ちていたバスローブを拾ってはおり、リビングへ向かう。
リビングのドアを開けると、悠太がキッチンで何か作っている姿。わたしに気づくと、手を動かしながらも、にこっと微笑む。
「おはよ紗矢香」
「おはよう……」
「いま、起こしに行こうと思ってたとこ。朝メシ食べられる?」
「う、うん……」
「冷蔵庫、勝手に使った」
「い、いいよ。もうふたりの冷蔵庫だし。好きに使って」
トーストに、スクランブルエッグ、ベーコン、サラダにコーンスープ。美味しいそうな匂いがリビングに立ちこめていた。
キッチンで忙しそうにする悠太。ふらふらとダイニングテーブルの前に座ると、豪華な朝ごはんに目が覚めた。
「悠太、ありがとう……」
「からだ、平気? きのう気絶しちゃってから全然起きないから心配してたんだ」
「え、気絶……?」
「覚えてないか。激しくイッたと思ったらそのまま眠ったみたいに動かなくなったからさ。息はしてたからそのまま寝かせたけど……」
いやいや、朝からする会話にしては刺激的すぎませんか!? 顔から火が出るかと思って思わず両手で覆った。
「どした?」
「恥ずかしい……」
「あぁ、そういうこと?」
「もう……朝から……」
「コーヒー? 紅茶?」
「コーヒーでお願いします」
ふたりで一緒に朝ごはんを食べ始める。穏やかで幸せな時間。悠太のわたしへの気持ちが友情だとしても、大切にしてくれているのがわかって、うれしい。やっぱり悠太が好きだ。
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